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2010年03月24日

星と絵本の家ときこり


チェンソーの基本から簡単な刻みまでをお伝えする。ヒノキ丸太の腰掛作りでブラッシングをする森氏。

「星と絵本の家」を訪ねて考えたこと

絵描きでありながら、きこりになった理由には、もちろん単純にきこりの仕事が好きということもありましたが、東京での美術造形の仕事をやめて群馬に帰るきっかけのちょうどそのころ、今の世の中であまりに多くの樹木の命が無駄に殺されていることを知ったことがあります。
コストに見合わないからという理由が唯一絶対の根拠となって使われずにゴミ扱いされる「命」をなんとかしたい。
そのとき「世の中を変えることで彼らの命を活かす」という選択肢は、単純馬鹿のぼくにはありませんでした。
とにかく現実に彼らの近くに寄り添って、自分の素手で活かすチャンスを得ることができるのが、きこりになることでした。
「命への向き合い方」として、これは絵描きのぼくの仕事とまったく同じことに思え、二つの仕事は僕の中ではまったく矛盾していません。
ですから、洞や曲がりなど、現場ではゴミになるだけの原木たちを愛しみ、木のおもちゃなどの材料として活かされるチャンスを与えてくださっている星と絵本の家での森氏の活動は、ぼくにはただただうれしくて、すばらしいことです。

東京から群馬に帰ったころは、仕事も、私生活も、表現活動も、いろいろが行き詰まり、つらい時期でしたが、最終的にそんな自分が進むべき方向を示してくれたのが、山に住むH谷さんとの出会いと「山の天然素材を活かす会」という考え方でした。
当時H谷さんと一緒に作ったホームページhttp://kanna.info/ikasu/
現在、会としての活動は特にしていませんが、その趣旨はその後のあらゆる活動の中に生きているし、今後も続いていくと思います。


この日、活かされていなかったチェンソーという機械を活かす(「命を活かす」こととは少し違う意味かもしれません)ことをしましたが、ここにひとつ、現代の葛藤があります。
チェンソーは便利すぎる、かつ危険すぎる道具です。立ち木を簡単に倒します。原木を、簡単に加工してしまいます。
そして簡単に得たものほど人間は、ありがたみが薄くなります。
手鋸や斧で時間をかけて倒したり、刻んだりした木を、その人はゴミ扱いするでしょうか。ぼくなら枝葉の先まで執着し、活かすことを考えると思います。
電気工具にも同じことが言えるかもしれません。社会全体まで大きく俯瞰すると原発も同じかもしれません。
チェンソーの爆音や、使っている人を夢中にさせる圧倒的なパワーには、一種の麻薬効果があるようです。
自分がすごい力を得たと勘違いを起こし冷静な心を失いやすい道具だということです。
耳を澄まさなければ気付かないような樹木の命を全く見えなくするような構造に拍車をかける道具かもしれないということです。

とはいえ、ここで妥協するのが、一番普通らしくて真っ当らしい選択でしょう。もしかしたら良くないのかもしれないけど「必要悪」として、今利用できるものは利用して、 道を外さなければいいのだ、という考えです。

でも、先日安房鴨川で自然農で米を作ってる友人の話を聞きました。彼は電気やエンジン機械を一切使いません。
脱穀も籾殻を別けるのも、昔ながらの手動の道具を使うそうです。
家具を修理するとき木ネジを締めるのにインパクトドライバーは使いません。手でドライバー一本で締める、そういう人です。
そして驚くのは、生産性は機械を使う場合とさほど変わらないということでした。
限りある石油燃料を一切使わないという点で、非常に長い目で見ると、たぶん比較にならないほど高い生産性だといえるかもしれません。

もともとぼくはエンジンや機械、道具が好きなので、チェンソーも大好きです。電気工具も好きで、森氏のテントの工作室はぼくには夢のような空間です。
ただ、星と絵本の家が目指すものの雰囲気からすると、たぶん、今後チェンソーや電気工具たちを活躍させていくときに以上のような考え方をいつも活動の片隅においておくことも、大切かもしれないと思いました。
そしてもし、余裕と興味があれば、昔ながらの鋸、ノミ、錐、鉋などの木工工具も使ってほしいです。
静かで有機的なそれら道具たちには、電気工具には感じられないような「命」のにおいが、使えば使うほどにしてくるはずです。



混合燃料、チェーンオイルについて説明

三鷹市「星と絵本の家」は国立天文台の敷地内の市民施設です。
市民による神沢利子絵本プロジェクトからの流れで、ボランティア参加している兄に誘われて、先日訪問しました。
チェンソーの使い方をお教えするのが主な目的でした。
ここには母校ムサビの学生もいろいろ関わっているらしくうれしい限り。
  


Posted by waka at 13:31Comments(0)手紙